フレイルだと何が良くないのか?

【記事内容ポイント】

  • フレイルでは生存率が低下する。

 

[su_heading size=”18″]フレイルだと何が良くないのか?[/su_heading]

フレイルになると、何が良くないのでしょうか?

フレイルだと生存率が低下します。

下図はふたたび、前回紹介したFried先生の論文からのデータです。フレイルの有無による生存率の違いをカプランマイヤー生存曲線で示しています。これから、フレイルの人は健常な人と比べて生存期間が短いことがわかりました。また、いわゆるプレフレイル(フレイルの前段階)と言われるような、Friedの基準が1~2点のIntermediateに分類された人の生存率は、フレイルの人と健常な人の中間でした。

 

フレイルがあると生存率が低くなることはわかりましたが、他にどのようなリスクがあるのでしょうか。

 

これも同じくFried先生の論文データですが、フレイルのない健常の人を1としたときのフレイルの人の相対的な危険度を示しています。この結果から、フレイルの人は健常の人と比べて、転倒しやすい傾向にあったこと、また移動能力の悪化は1.36倍、ADL(日常生活動作)低下の悪化は1.79倍、入院は1.27倍、死亡は1.63倍のリスクがあったことがわかりました。

つまり、Fried先生が提唱した基準を用いてフレイルと診断された場合、数年間において、日常の活動力は低下し、入院や死亡といった不幸な転帰となるリスクが高まるということが分かったのです。このように、Friedの基準がよく利用されているのは、シンプルでわかりやすいというだけでなく、入院や死亡といった転帰・アウトカムとも関連がしっかりと示されているからでしょう。

[su_heading size=”18″]フレイルサイクル ー フレイルが進行する悪循環[/su_heading]

一旦フレイルとなるとさらにフレイルが進行していくという悪循環が指摘されています。

それがフレイルサイクルです。

 

サルコペニアと言いますが加齢などによって筋量が減少することで、基礎代謝が低下、活動量も低下し、総エネルギー消費も低下、摂取不足から慢性的な栄養欠乏も重なり、さらに筋量が減少していく。このような悪循環から、フレイルが進行していくと考えられています。

では、老化とともにフレイルになってしまうのは仕方ないのでしょうか。フレイルになってしまったら、あきらめるしかないのでしょうか。

フレイルが老年医学で注目されているのは、そうではないからです。『寄る年波には勝てない』『歳のせい』などと一見思われがちなフレイルだったのですが、実は、フレイルは介入をすることでまだ回復し得るものであり、健常な状態にもどることができる可能性があるということがわかってきたのです。

では、どうしたらよいのでしょうか。

それは、フレイルサイクルの悪循環を断ち切ってやることです!

次回以降説明していきたいと思います。